脳科学心理マーケティング4
<値引きは慎重に行う>
人は高価なものにより満足感を得ます。
例えば、酒屋に1000円で売っているワインがあったとして、
それと全く同じワインがレストランにて5000円で提供されていた場合、
同じワインでも、
・1000円で購入したワインを自宅で飲む
・レストランで5000円を出して飲むワイン
この場合、全く同じワインであっても、
5000円のワインの方が、より高価に美味しく感じるのです。
(*お客様は“そのワインが酒屋に1000円で売っている”という事実を知らない場合に効果があります)
これは、飲む場所が違うために、満足感が変わってくるという事もありますが、
実は、同じ場所で飲んだとしても、
値段が違うだけで脳が感じる快感の度合いが違ってきます。
つまり、
酒屋で1000円だったワインの値札を間違えて5000円にして売ってしまった場合でも、
お客様はそのワインを5000円で購入してしまえば、
多少味の差がわかる人だとしても、
ワインをその価値(5000円)に近づけて良いモノと感じてしまうのです。
1000円で購入したお客様の心理は
「1000円のワインはこんなレベルの味なのか~」と思って飲みます。
間違った値札(5000円)で購入したワインを飲んだお客様の心理は、
「これが5000円のワインか~、思ったより安いワインとそこまで変わらないけど、
なんかどこか上品な感じがするな~、さすが5000円のワインだな~」
なんて勝手に思ったりしてしまいます。
つまり、脳は“高いものを有難がる”のです。
その他の例だと、
高い金額を払って栄養ドリンクを飲んだ人は、
同じ商品を割引価格で購入し、飲んだ人よりパズルが早く解ける
などの効果があるのです。
商品の値段が高すぎると認識してしまえば、
人は支払いの痛みを感じ、購入する可能性が低くなることが分かっている一方、
ある商品に対して金額を多く支払っているほど、
人はその商品を堪能していることが証明されています。
一つ重要な事は、値段の高いモノが満足感を押し上げるのは、
その商品を購入し消費した後です。
食べ物や飲み物に関しては、
ワインの例を挙げると、もし先に1万円のワインをもらって飲んだ場合、
その後、ワインショップが値札の金額を間違えて1000円で売っていたものを購入した場合でも、
ワインの味は1万円のワインに思えるため、購入の痛みが大きく軽減できます。
しかし、そのワインが「セールで1000円!」と書かれていた場合は、
今度は疑念が生じ、ワインに対しての知覚価値が下がります。
つまり、この場合は1万円のワインの味はしないと確信して飲むことになるのです。
市場に適した価格設定をして、値引きはお客様の質を低下させる可能性があることを覚えておきましょう。
一応ことわっておきますが、
値引きや低価格が悪いといっているわけではありません。
お客様は、多少高くても価値のあるものを求めます。
お客様にとって、お金よりバリュー(価値や経験)が大事なのです。