行列マーケティング心理のエビデンス(ネタバレあり)

今日は私の電子書籍『限りなく黒に近いグレーな飲食店心理学』から。

心理学も含め、多くの学問にはエビデンスがあります。エビデンスとは「証拠」のような意味合いとしても使われます。

なぜエビデンスが必要・大事なのかというと、人間の感覚だけに頼った判断をしてしまうと「ズレ」が生じてしまう可能性があるからです。

例えば、飲食店経営において、「Aの商品が1番売れている」と体感していても、「実はBの方が売れていたり、利益がでていた」などの事実が、ABC分析などを行うことで表面化します。

数字などで、はっきりと「見える化」することで、マーケティングなどの戦略の精度が上がります。

「エビデンスがあるから正しい」と言うつもりはありませんが、

その流れで、私の書籍の中でもいつも売れ行き上位に位置する本限りなく黒に近いグレーな飲食店心理学』は、どのように考えられ、作られたかの制作秘話を少し暴露しようと思います。

これを読むだけでも、マーケティングのヒントになると思います。

なぜエビデンスが必要なのか?

この本の中に、「行列」や「待ち時間の心理」について書かれている部分があります。

本の詳しい内容は伏せておきますが、読む人によっては、もしかしたら、「え、これ机上の空論じゃないの?」なんて怪しむ方もいるかもしれません。

私は、完全に疑心暗鬼タイプなので、本の中で「これ、本当かな?」と思ったことは、すぐに文献があるかどうか、それが本当に正しいのかなどの第一次情報を調べます。

そしてどうしても見つからなかったら、著者本人に連絡して聞き出すことまでするくらい、信ぴょう性を確かめたくなるいやらしい性分です。

ただ、どんな文献や証拠でも、いつかは覆されることもありますし、舌の味蕾図のように、完全に間違っていたなんていうようなエビデンスも存在します。

【料理がおいしく感じる味覚の原理 ~五味と舌のミライ~】 https://wp.me/p50ahn-Hg

また多数決のように、多くの人がそのように行動する「割合」がエビデンスとして発表することも多くあるので、「このエビデンスがあるから、あなたは○○です!」なんて決めつけることはできません。

様々な条件によって、変わることも多々あります。

その中でも「心理学」は「医学」などに比べて、確率論が多いのですが、それでも多数の人が、「Aという条件下でBという行動をする」という実験データは、マーケティングしかり、多くの物事に応用できると言っていいでしょう。

話は戻り、

飲食店の「待ち時間」「行列」の心理学について、多くの論文がありますが、この本には、その論文プラス、私の経験から培った内容が書かれています。

例えば「マイスターの8つの法則」というのがあります。

The Psychology of Waiting Lines

待ち時間の心理とサービスシステム

他にも、執筆するにあたり、サイトや本、文献など多くの情報をまとめました。以下はその一部です。

行列の待ち時間はプラス効果を生むのか

「待つ」という行為における心理的時間の評価に関する研究 ←ここの[z017]の論文

病院での待ち時間に対する態度と,待ち時間を過ごす際の感情

他にも探せば、似たような論文は出て来ると思います。

そして論文にはないですが、私個人の持っている経験を組み合わせて、本もそうですがブログの記事も書いていたりします。

ですので、「待ち時間」に関する部分で言うと、

飲食店(ラーメン屋など)で検証した結果、席が空いているからと言って、スムーズに案内するより、少し待たせた方が、期待感を持たせる効果があることや、外に待たせて繁盛していると見せる効果。

キッチンのオペレーションの効率化。それにより、お客さんの満足度が上がる。

と感じています。

このようなことを総合判断して、飲食店の立地や客層、価格帯によって、行列の長さや、待ち時間、オーダーの取り方などを工夫して、繁盛店として成功させた店は多くあります。(もちろんそれだけが繁盛の要因にはなりません)

人種による差もありますが、日本人以外もこのような待ち時間の心理は使えます。その国柄での、嗜好による心理的影響も変わってきます。

以上のように論文や本やサイトからの情報、私やクライアントの体験談をもとに書いています。

ただ、先述した通り、客層や嗜好、立地や広告の有無、時間帯など、たくさんの要因により、待ち時間の長さなどを決めなければいけません。

条件によっては不満に思うお客さんが多く出る可能性もあるので、個々(店ごと)に応じたカスタマイズは必要だということも考えると、最終的には一つ一つ、成功法則なり戦略がかわってくるのだと感じています。

これはどの業界・ビジネスでも同じことが言えるでしょう。

エビデンスや心理学も使いつつ、しっかりと自分のビジネスを分析することが、成果を出すための早道です。